フォーメーション分析は、私の売買戦略の基本となる手法だ。これを補完するためにエリオット波動理論や相場サイクル等を取り入れてきた。最近では、マーケットプロファイルにペンタゴンチャート等が加わり、自分の投資戦略が少々複雑になり過ぎている気がしている。
そんなわけで、パターン認識だけで30年間稼ぎ続けてきたらしいピーター・L・ブラントこの書籍は非常に興味深いものだった。
まずは目次を見てみよう。

第1部 トレーディングで成功するための基礎
はじめに
商品トレーダーの誕生
本書を書いた理由
本書の読者対象
本書の構成
第1章 典型的なチャート原理についての歴史と理論
チャートの原理についての私の考え方
チャートの原理の3つの限界
まとめ

第2部 うまくいくトレーディングプランの特徴
第2章 トレーディングプランを立てる
トレーダーの性格と気質
適切な資金額
全体的なリスク管理
覚えておくべきポイント
第3章 トレード機会の確認とトレーディング用語
トレード機会の確認
ファクター・トレーディング・プランで用いる用語
覚えておくべきポイント

第4章 理想的なチャートパターン
銅のヘッド・アンド・ショルダーズ
豪ドル/ドルの反転パターンでの上昇ウエッジ
大豆油のウエッジとダブルトップ
砂糖の反転パターンでのトライアングル
米ドル・カナダドルの継続パターンと増し玉
銀の天井
ラッセル1000の継続パターンのヘッド・アンド・ショルダーズ
カンザスシティー小麦のボックス
原油のボックスとペナント
ダウ公共株のヘッド・アンド・ショルダーズの継続パターン
ユーロ/ドルでのトライアングルとMトップとフラッグ
ポンド/円のヘッド・アンド・ショルダーズと3つの継続パターン
豪ドル/円の対称トライアングルの反転パターン
砂糖のトライアングルとウエッジ
アップルコンピュータの逆ヘッド・アンド・ショルダーズ
メジャーパターンの金のヘッド・アンド・ショルダーズと対称トライアングル
銅の一連の強気パターン
ドル/カナダドルでの上昇トライアングルの失敗
ダウ輸送株指数での12週間のボックス
ブレント原油での珍しいホーン
2009年に逆ヘッド・アンド・ショルダーズから上昇を始めたS&P
まとめ
覚えておくべきポイント

第5章 ファクター・トレーディング・プランはいかに機能するのか
トレード機会の確認
仕掛け
リスク管理
注文の管理
覚えておくべきポイント

第6章 ファクター・トレーディング・プランを使った3つの例の研究
テクニカル面で注目に値するダウ先物トレード
1年に及ぶ金のトレード
1年に及ぶ砂糖のトレーディング
覚えておくべきポイント

第7章 成功するトレーダーの特徴
シグナルについての深い知識
規律と忍耐
自分自身とトレーディングプランの分析
ひたすら信じること
覚えておくべきポイント

第3部 5カ月のトレーディング日記――開始
第8章 1カ月目――2009年12月
トレーディングの記録
まとめ
第9章 2カ月目――2010年1月
トレーディングチャンスの確認
プランを修正する
トレーディングの記録
まとめ

第10章 3カ月目――2010年2月
ちゃぶついてもプランに従う
トレーディングの記録
まとめ

第11章 4カ月目――2010年3月
トレーディングの記録
まとめ

第12章 5カ月目――2010年4月
典型的なチャートの原理に頼る
トレーディングの記録
将来の見通し
まとめ

第4部 総まとめ
第13章 運用成績の分析
トレーディングプランはどういう成績だったか
プランとトレーダーはどう進化したか
まとめ――今後の最良の方針
第14章 最もきれいな例
豪ドル/ドルの7カ月のダブルボトム
ユーロ/スイスフランの14カ月の対称トライアングルと9カ月の下降トライアングル
ユーロ/ドルの6カ月のウエッジ
ポンド/ドルの16週間のホーン
ニュージーランドドル/ドルの4カ月の逆ヘッド・アンド・ショルダーズ
ドル/カナダドルでの、6カ月間の上昇トライアングルの失敗
S&Pの8カ月間の逆ヘッド・アンド・ショルダーズ
砂糖の14カ月間の対称トライアングル
金の7カ月間のトライアングル
銅での一連の継続パターン
原油の逆ヘッド・アンド・ショルダーズ
まとめ

あとがき

付録A ファクター・トレーディング・プランのシグナル
付録B チャートの早見表
付録C お勧めの本とホームページ
著者注


非常に長い目次だが、本書の内容は実にシンプルで、チャートパターンに基づくトレーディングの記録を綴ったものだ。トレードテクニックも非常に明解で、ほとんどブレイクアウトした日の最安値にストップを設定するLDR(ラスト・デイ・ルール)だけだ。
しかし、これだけで30年間稼ぎ続けたわけではない。著者のトレーディング技術は、パターン認識ではなく、トレード機会の確認方法を含めたトレード自体の管理とリスク管理にあると言える。

もし、チャートパターンを頼りに売買しているトレーダーのうち、成績が思わしくないトレーダーは、一度読んでみることをお勧めする。ひょっとすると、チャートを眺める機会が多すぎるかもしれず、また、トレード回数も多すぎるのかもしれない。本書を読めば、ピーター・L・ブラント流のトレード管理法を学ぶことができるだろう。

diary_of_Professional_trader ウィザードブックシリーズvol.187
 「一芸を極めた裁量トレーダーの売買譜 日記から読み解く戦略・心理・トレード管理術」
ピーター・L・ブラント
長尾慎太郎, 山口雅裕
パンローリング 3,990円 (税込)