20110306eurusd

先週はユーロの堅調さが目立つ一週間だった。EUR/USDは2月14日安値1.34275から押目らしい調整もなく堅調に推移している。週末3月4日には一時1.40068の高値を示現しているが、そろそろ高値追いには注意が必要な時期に差し掛かっているようだ。
上のチャートはEUR/USDの日足にエリオット波動をラベリングしたものだ。
EUR/USDは2010年6月に1.1867の安値を示現した後、A-B-Cの3波構成の修正波動を経て2010年11月高値1.42816をつけ、その後の長い調整局面にある。
昨年11月からの変動を見ていると、今後のEUR/USDの行方についていくつかのシナリオが浮上する。

チャートには、点線矢印で上昇シナリオ1と下落シナリオ2を書いている。このうち上昇シナリオには2つの見方がある。
一つは11月高値1.48216が調整C波のトップではなく、これからはじまる長期上昇波動の推進3波の小勢1波であったという見方だ。この場合、小勢2波の調整を今年1月安値1.28723(1月はその年の高安値をつけやすい)で終え、すでに小勢3波入りしていることになる。この場合は中長期的にEUR/USDの上昇は続くことになるだろう。
2つ目は昨年安値1.1867からの調整局面の途上にあるという見方である。
一般に修正波動はA-B-Cの3波によるジグザグ構成であるが、このジグザグが繰り返されることがあり、A-B-C-X-A-B-CとX波を挟んだダブルジグザグというチャート・パターンを示現する場合がある。このパターンでは、AとCは5波構成であり、BとXは3波構成である。
今回のケースをみると、昨年11月高値から今年1月安値まで3波構成で下落しており、X波の条件を満たしている。もしそうであれば、年初からの上昇は5波構成であり、現在は3波目に位置していることになる。長期的には調整局面とはいえ、中期的には上昇が継続しそうだ。

次に下落シナリオをみてみよう。
このケースは前述の調整局面の派生パターンであり、ダブルジグザグではなくダブルスリーというチャート・パターンの可能性を疑うものだ。
ダブルスリーの場合、A-B-C-X-A'-B'-C'の波動カウントは同じながら、それぞれの波動構成が5-3-5-3-3-3-5となるパターンである。もし、今回のケースがこのパターンに該当すれば、現在は3波構成のA'波に3波目に位置することになる。A'波がトップアウトすれば、再び年初安値付近までの下落3波動が再開するだろう。

さて、いずれのケースであっても短期的にはそろそろ天井を示現する日柄に差し掛かっており、ロングポジションには利食いの準備が必要であろう。前のサイクルから見た次の天井形成の日柄は3月8日〜4月1日。もっとも有力な日柄は3月18日前後であるが、3月30日から水星逆行期に入ることを踏まえると3月末まで延長される可能性もある。しかし、次のボトムのタイミングが3月25日迄なので、それまでにトップアウトすると思う。

中長期的な行方を判断する上で、まずは次の高値に注目したい。もし、この高値が昨年11月高値1.42816を上回ればEUR/USDの上昇は継続するだろう。しかし、もし突破できない場合は次の下落で2月高値1.38608を維持できるかを確認したい。維持できれば、再上昇の可能性を残すが、下回ればシナリオ2の可能性が極めて高くなるだろう。

今年はユーロクロスと貴金属相場が取引には良い環境のようだ。